JIS R1641:2007 pdfダウンロード
JIS R1641:2007 pdfダウンロード。ファインセラミックス基板の マイクロ波誘電特性の測定方法 Measurement method for dielectric of fine ceramic plates at microwave frequency
1. 適用範囲
この規格は,主にマイクロ波回路に用いる誘電体基板用ファインセラミックス材料の,マイクロ波帯における誘電特性の測定方法について規定する。
2. 引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0601 製品の幾何特性仕様 (GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ
JIS B 7502 マイクロメータ JIS B 7507 ノギス
JIS R 1600 ファインセラミックス関連用語 IEC 60028 International standard of resistance for copper
3. 定義
この規格で用いる主な用語の定義は,JIS R 1600によるほか,次による。
a) 複素比誘電率rε (complex relative permittivity) ベクトル表示による交流電界の強さE (V/m) と交流 電束密度D (C/m) との複素比を,真空の誘電率0ε (=8.854 2×10−12 F/m) で除した値。
b) 誘電正接tanδ (loss factor) 誘電体損失角δの正接。複素比誘電率の実数成分及び虚数成分を使うと,tanδは式(3)で表される。 εεδ′′′=/tan ············································································ (3)
c) 比誘電率の温度係数 TCε (temperature coefficient of relative permittivity) 比誘電率の温度による変化率を,対応する温度の変化分で除した値。
5. 測定原理
この方法では,導体円筒空洞を中央で二つに分割し,その間に試験試料(誘電体平板)を挟んだTE011モード (1) 共振器を構成する。この共振器の共振周波数0f及び無負荷Q (Qu) は,試験試料のε′,δtan,厚みt及び空洞共振器の内径D,高さH及び空洞共振器を構成する材料の実効的な比導電率rσによって決定される[図1a) 測定用共振器]。したがって,0f,Qu,D,H,rσ,tを測定して,ε′,δtanを求めることができる。空洞共振器の構造は内側が円筒状で,D=35 mm,H=25 mmとすると共振周波数は約12 GHzとなる。また,試験試料は,通常厚さ1.0 mm程度,直径50 mmφ程度の円板,又は50 mm角程度の平板を用いる。
GHz帯域では,電磁波は空洞共振器のサブミクロン程度の深さまでしか侵入しないため,導電率は表面のきず又は酸化膜の有無によって小さくなる。そこで,空洞共振器の実効的な導電率rσを測定によって求めることが必要である。
この方法では空洞共振器を中央で二つに分割し,その間に試験試料を挟んで共振器を構成するので,試料の縁端部は空洞共振器の外に出ている。しかし,試料の厚さtはTE011モードの共振周波数の半波長をε′で除した値(0f=10 GHz,ε′=10のとき4.7 mm)に比べて十分小さいので,縁端部の電磁界は急速に減衰し,エネルギーは半径方向に放射しない。この縁端部の電磁界の効果(縁端効果)はε′及びδtanの測定にわずかな影響を与える。したがって,この方法では,まず解析が容易な,空洞内径と同じ直径をもつ架空の円板試料を挿入した場合について,比誘電率sε及び誘電正接stanδを求める[図1b) 解析用共振器]。その後に,図で与えられた補正係数を用いて,縁端効果の補正を行いε′及びδtanを求める。また,TE011モードの−40〜+85 ℃における0f及びQuを測定してεTC,δtanの温度依存性を求める。
注(1) 導波路の軸に垂直な平面上に電界があるモードを横電界姿態 (transverse electric mode) といい,TEモードと略記する。これについているサフィックスは,左から順に円筒座標の軸回り方向,径方向,軸方向の電界強度の節又は腹の数を示している。また,図1c) に示すようにTE011モードでは,電界は試験試料の面内にある。したがって,ここで規定する測定方法で測定されるε′は面方向の値である。 6. 試験場所の標準状態 特に指定がない限り,試験環境の温度は25±2 ℃とし,相対湿度は60 %以下とする。
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