JIS X5107:1985 pdfダウンロード
JIS X5107:1985 pdfダウンロード。マルチリンク手順 Multilink Procedures
1. 適用範囲
この規格は,データリンク層において複数の並行するデータリンクを用いて,ネットワーク層エンティティ間に種々の伝送容量をもつ一つのデータリンクを提供するために用いるマルチリンク手順について規定する。
備考1. マルチリンク手順は,データリンク層内の上位の副層のプロトコルであり,複数のシングルリンク手順からなるデータリンク層内の下位の副層とネットワーク層の間で動作する。MLPは,マルチリンク手順を実行し,SLPは,シングルリンク手順を実行する。MLPとSLPとの関係を図1に示す。マルチリンク手順で使用される複数のシングルリンク手順の遅延特性や回線速度は,それぞれ異なってもよい。
2. 用語の意味
この規格で用いる主な用語の意味は,JIS X 0001(情報処理用語),JIS X 5104(ハイレベルデータリンク制御手順のフレーム構成),JIS X 5105(ハイレベルデータリンク制御手順の手順要素)及びJIS X 5003(開放型システム相互接続の基本参照モデル)によるほか,次のとおりとする。
(1) マルチリンクフレーム マルチリンク手順における転送単位。マルチリンク制御フィールド及びデータユニットからなるビットの列である。
(2) シングルリンク手順 単一のデータ通信回線を通してデータリンクの設定,維持,切断及びデータ伝送を行うデータリンクプロトコル。
(3) ウィンドウ マルチリンクフレームのフロー制御を行うための制御方式。送信ウィンドウ及び受信ウィンドウの2種類があり,連続して送受信するマルチリンクフレームの数の制限や紛失したマルチリンクフレームの検出などを行う。
3. パラメータの定義とマルチリンクフレームの形式
3.1 パラメータの定義 パラメータは,次のとおりとする。
(1) マルチリンク送信順序番号 [MN (S)] 送信するマルチリンクフレームに付与する0から4095までの順序番号。受信側MLPは,データユニットをネットワーク層へ渡す前にマルチリンクフレームの再順序制御をしたり,重複又は紛失したマルチリンクフレームを検出したりするためにMN (S) を使用する。
(2) マルチリンク送信状態変数 [MV (S)] 次に送信するマルチリンクフレームに付与するMN (S) を示す。
(3) マルチリンクフレーム確認状態変数 [MV (T)] 自局SLPからの送達確認の通知を待つ最旧マルチリンクフレームのMN (S) を示す。送信ウィンドウの下限を表す。
(4) マルチリンク受信状態変数 [MV (R)] ネットワーク層へ渡すべき,次に受信が期待されるマルチリンクフレームのMN (S) を示す。受信ウィンドウの下限を表す。
(5) マルチリンクウィンドウサイズ (MW) 送信ウィンドウは,MV (T) からMV (T) +MW−1までの順序番号の範囲を示し,受信ウィンドウは,MV (R) からMV (R) +MW−1までの,順序番号の範囲を示す。一つの伝送方向において送信側MLPと受信側MLPとは,同一のMWを用いる(1)。
注(1) MWは,システムパラメータであり,4095−MXを超えてはならない。パラメータMWの値に影響する要素としては,伝送時間,伝搬遅延,リンク数,マルチリンクフレームの長さ,シングルリンクパラメータ[SLP再送回数N,応答時間及び確認を受けずに連続送信できる情報 (I) フレームの最大数]などがある。
(6) 受信MLPウィンドウガード領域 (MX) 受信ウィンドウに先行する一定の順序番号の範囲。MN (S) がMX内にあるマルチリンクフレームを受信すると,MV (R) からそのMN (S) −MWまでの範囲内の受信されていないマルチリンクフレームは,紛失したとみなされる。
(7) 異常マルチリンクフレーム範囲 (MZ) 正常な状態では受信することのないMN (S) の範囲。MN (S) がMZ内にあるマルチリンクフレームは,廃棄しなければならない。
(8) 順序制御無効ビット (V) Vビットは,受信したマルチリンクフレームの再順序制御が必要か否かを示す。V=1は,再順序制御が不要であることを示し,V=0は,再順序制御が必要であることを示す。
(9) 順序検査オプションビット (S) Sビットは,V=1(受信マルチリンクフレームの再順序制御が不要なことを示す。)のときにだけ有効となる。V=1かつS=1は,送信側MLPがマルチリンクフレームにMN (S) の値を付与しなかったことを示す。V=1かつS=0は,マルチリンクフレームの重複又は紛失の検査を容易に行うため,送信側MLPがMN (S) の値を付与したことを示す。
(10) MLPリセット要求ビット (R) Rビットは,MLP状態変数をリセットするのに用いる。R=0は,通常の通信に使用する。R=1は,受信側MLP状態変数のリセット要求を示す。R=1の場合,マルチリンクフレームのデータユニットフィールドには,高位層の情報を含んではならないが,リセットの理由を組み入れる付加的な理由フィールドを含んでもよい。
(11) MLPリセット確認ビット (C) Cビットは,すべてのMLP状態変数がリセットされたことを確認するために,R=1の応答として使用する。C=0は,通常の通信に使用する。C=1は,R=1に対する応答に使用され,MLP状態変数のリセットが完了したことを示す。C=1の場合,マルチリンクフレームは,データユニットフィールドをもたない。
(12) マルチリンクフレーム紛失タイマ (T1) MV (R) に等しいMN (S) をもつマルチリンクフレームの紛失を検出するために使用する。
(13) グループビジータイマ (T2) 受信側MLPは,このタイマを使用することにより,マルチリンクフレームの再順序制御を行う前にバッファが不足し,閉塞状態になったことを検出することができる。このタイマの設置は,任意とする。
(14) MLPリセット確認タイマ (T3) T3タイマは,R=1のマルチリンクフレームの送信後,期待されるC=1のマルチリンクフレームが受信されなかったことを検出するために使用する。
(15) SLP再送回数 (N) SLPは,N回マルチリンクフレームの再送を試みた後,MLPにそのことを通知する。N回再送後の動作は,SLPの設計により異なる。MLPは,N回リトライアウトとなったマルチリンクフレームを同一のSLPか,一つ又は複数の他のSLPに割り当てる。
3.2 マルチリンクフレームの形式 データユニット(例:パケット)の再順序制御を行うために,マルチリンク制御 (MLC) フィールドを使用する。このフィールドは,SLP送信ユニットの情報フィールド内の最初の2オクテットとして送信される。図2にMLCフィールドとデータユニットとの関係及びシングルリンク手順ヘッダとトレイラを示す。シングルリンク手順ヘッダの直後に2オクテットのMLCフィールドが続く。シングルリンク手順のヘッダ及びトレイラ並びにMLCフィールドは,データリンク層においてだけ生成,使用され,ネットワーク層には渡されない。 マルチリンク送信順序番号MN (S) は12ビットからなり,モジュロ4096で表す。MN (S) は,図2に示すようにMNH (S) とMNL (S) の二つのフィールドに分かれる。
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