Location: Home > JIS R1694
JIS R1694
  • JIS R1694:2012 pdfダウンロード。ファインセラミックス薄膜の湿度環境下における 分光透過率の測定方法 Measurement of spectral transmittance of fine ceramic thin films under humid condition 1 適用範囲 この規格は,干渉フィルタ,反射防止膜などの光学部品として使用する光学用ファインセラミックス薄膜の分光透過率を,環境の相対湿度を変化させて,分光光度計によって測定する方法について規定する。 2 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 JIS K 0115 吸光光度分析通則 JIS Z 8701 色の表示方法−XYZ表色系及びX10Y10Z10表色系 JIS Z 8730 色の表示方法−物体色の色差 3 用語及び定義 この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 3.1 1/2透過率波長[λT1/2] 特定の波長範囲で,試料の分光透過率が最大値と最小値の中間値となる波長。 3.2 ミニチャンバー 試料を分光測定するために,真空中又は高湿度・低湿度環境で試料を保持する密閉用容器。 3.3 透過率 試料に入射した光と,透過した光の量の強度比を百分率で表した値。 3.4 モノクロメーター 白色光から任意の波長成分の光を取り出す機器。 3.5 分光光度計 光源部,モノクロメーター,試料室,測光部,信号処理部,データ処理部,及び表示・記録・出力部で構成され,選択された波長における試料の透過率,又は反射率の測定を行う装置。 3.6 ダブルビーム方式分光光度計 分光光度計のうち,更に光源からの光を試料側と参照側とに分岐させる光学系をもち,透過率測定又は反射率測定に用いる光を参照用及び試料用の2光線として参照光を基準光として用いる方式をもつ装置。 3.7 積分球 分光光度計の測光部に用いられ,検出器が設置された球の内面に硫酸バリウムなどの拡散反射性の白色物質を塗布し試料物質の透過光を立体角内全体にわたって集光し検出することができる装置。 4 測定環境 測定環境は,次に示す環境条件で行うことが望ましい。 a) 温度 23±2 ℃。 b) 相対湿度 70 %以下。 注記 環境温度が低いと,高湿度測定時に恒温恒湿槽からミニチャンバーを取り出した際にミニチャンバー内が結露するので注意を要する。 5 試料 試料は,板状若しくはフィルム状の基板上に形成されたセラミックスの単層又は多層薄膜とする。基板の材質はガラス又は高分子材料などであり,通常の板ガラス程度の透明性があれば制限はない。ミニチャンバー内に設置できれば,試料の寸法及び形状は任意とする。 6 測定原理 セラミックス薄膜は微細な柱状構造をもつことが多いため,柱状組織の隙間に大気中の水分が吸着する。水分の吸着によって薄膜の屈折率が変化して,光反射・透過特性が変化するので,この影響が分光透過率の変化に現れる。この水分の吸脱着は急激におこるとともに,水分の吸脱着による屈折率の変化はセラミックス薄膜試料の環境履歴により影響される。したがって,セラミックス薄膜試料における水分吸脱着による分光特性の変化を評価するためには,真空環境下において吸着水分を脱離することにより履歴の影響を低減するとともに,当該試料を所定の湿度環境を維持した状態において測定することが必要となる。得られたデータ分光透過率データより1/2透過率波長[λT1/2]のシフトなどを算出するとともに,真空環境下における測定により得られた値と比較することにより,雰囲気湿度に対するセラミックス薄膜試料の安定性を定量的に求められる。
    09-18